伊那谷で、ここまで上質な鮨がいただけるとは——
初めて訪れたときの驚きを、今でも覚えています。
「呉竹鮨」は、南箕輪村にある小さな名店。
カウンターに座ると、目の前で大将の手が止まることなく動き、魚の命が“料理”へと変わっていく瞬間を、静かに感じることができます。
一貫一貫に込められた丁寧な仕事。
その所作からは、まさに“職人の哲学”が伝わってきます。
さばき、握り、盛り付け——どの工程にも、妥協がありません。
特に印象に残ったのは、魚の鮮度。
透明感のある白身、旨味の詰まったねぎとろ、そして口の中で弾けるいくら。
そのすべてが“生きている”かのような存在感を放っていました。
上質な空間の中で過ごす時間は、まるで日常が一段階上質に切り替わるよう。
無駄がなく、静かで、凛とした空気。
料理と真剣に向き合う大将の姿に、自分自身の仕事を重ねてしまいます。
「一つひとつの手仕事が、信頼をつくる。」
この店で学ぶのは、技術だけではなく、
“生き方としての仕事”の在り方。
ファーム有賀も、同じ信州伊那谷で、
自然と向き合いながら一粒の米、一枚の葉に真剣に向き合っています。
呉竹鮨のように、“本物の仕事”を通して信頼を積み重ね、
食を通して心が豊かになる時間を届けていきたい——
そう感じさせてくれる場所です。
伊那谷にこんなにも静かで力強い“本物”があることを、
全国の人に知ってほしい。
忙しい毎日の中で、
少し立ち止まり、自分の原点を見つめ直したい時。
そんな時に、呉竹鮨のカウンターに座ると、
心が静かに整っていくのを感じます。