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なぜ今、「亀の尾」を育てるのか。

長野県・伊那谷のファーム有賀です。

9月に入り、今年も稲刈りの季節が近づいてきました。

田んぼの稲穂も少しずつ黄金色に変わり、頭を垂れ始めています。

その中に、ひときわ背の高い稲があります。

「亀の尾」です。

今年の亀の尾は、7月20日に出穂しました。

それから夏の日差しを受け、伊那谷の昼夜の寒暖差の中で少しずつ実り、いよいよ収穫を迎えようとしています。

毎年この時期、亀の尾の田んぼを眺めながら思うことがあります。

なぜ今、100年以上も前から受け継がれてきたお米を育てているんだろう。

今日は、そんな「亀の尾」というお米について、少し書いてみたいと思います。

明治時代から受け継がれてきた「亀の尾」

亀の尾の歴史は、明治時代までさかのぼります。

1893年(明治26年)、山形県庄内地方の農家・阿部亀治によって選抜され、育てられたとされる品種です。

冷害の年、周囲の稲がうまく実らない中で、しっかりと実っている稲穂を見つけたことが始まりとされています。

そこから種を取り、育て、選びながら残していく。

今のように新しい品種が次々と生まれる時代よりも、ずっと前のことです。

農家が自分の田んぼを歩き、一本一本の稲を見ながら、次の年へ残す種を選ぶ。

そんなところから生まれたお米が、亀の尾です。

日本のお米の歴史にもつながる品種

亀の尾は、単に「昔のお米」というだけではありません。

その後、日本のお米の品種改良にも使われてきました。

亀の尾を親の一つとして生まれた品種があり、さらにその先へと系譜がつながっていきます。

現在私たちが食べているお米とは、姿も育て方も違います。

それでも、日本のお米の歴史をたどっていくと「亀の尾」という名前が出てくる。

100年以上前の品種が、今のお米の世界にもつながっている。

そう考えると、とても面白いお米です。

実際に育ててみると、なかなか大変です

歴史を聞くだけなら、とてもロマンのある品種です。

ただ、実際に田んぼで育ててみると、なかなか気を使います。

まず目につくのが、

背の高さです。

現在の品種と比べても草丈が高く、田んぼに立っている姿にも独特の存在感があります。

大きく育った亀の尾が風に揺れている姿は、とてもきれいです。

その一方で、背が高いということは、それだけ倒れる心配もあります。

穂が実って重くなってくると、雨や風の強い日はどうしても田んぼが気になります。

稲刈りまで無事に立っていてくれるか。

最後まで気を抜けない品種です。

効率だけを考えれば、もっと育てやすいお米があります。

それでもファーム有賀では、亀の尾を育てています。

なぜ、今も亀の尾を作るのか

理由は一つではありません。

「珍しいお米だから」というだけでもありません。

100年以上前に、一人の農家が田んぼの中から見つけ、種を残した。

その種が人から人へ受け継がれ、今も残っている。

そして、その種を自分たちの田んぼに蒔けば、今年も芽を出し、稲になり、穂をつける。

農業をしていると、そのこと自体がとても面白く感じます。

新しい品種が次々と生まれていく時代だからこそ、

昔から受け継がれてきたものを、今の田んぼでも育ててみたい。

そして、できることなら次の世代にも残していきたい。

ファーム有賀が亀の尾を育てている理由は、そんなところにあります。

亀の尾を食べて感じる「粒感」

そしてもちろん、お米なので、最後は味です。

私たちが亀の尾を食べたとき、まず印象に残るのが、

一粒一粒の存在感。

しっかりとした粒感があります。

噛んでいくと、お米そのものの味がゆっくりと広がっていきます。

でも、食べ終わったあとに重たさが残らない。

私たちは、その感じを

「品のある後味」

と表現しています。

強い甘さを前面に感じるお米とは、少し方向が違います。

派手ではない。

けれど、一口、また一口と食べ進めていくと、じわじわと良さがわかってくる。

そんなお米だと思っています。

まずは、白いご飯で

亀の尾を初めて食べるなら、まずはシンプルに白いご飯で味わってみてほしいと思います。

炊きたてを茶碗によそって、まずは何も合わせずに一口。

一粒一粒の食感を感じながら、ゆっくり噛んでみる。

そのあとに、漬物や焼き魚、味噌汁など、いつもの和食と合わせる。

料理を邪魔するというより、食事の中にすっと馴染んでいく。

毎日の食卓の中で、静かに存在感のあるお米。

亀の尾には、そんな良さがあるように感じています。

今年の亀の尾も、もうすぐ収穫です

令和8年の亀の尾は、7月20日に出穂しました。

それから約一か月半。

伊那谷の夏の日差しを受けながら、一粒一粒に実が入り、稲穂も黄金色へ変わってきました。

田植えをした頃には、まだ小さかった苗。

それが夏の間に大きく伸び、今では立派な穂を垂らしています。

春から田んぼを見てきただけに、この景色を見ると、やっぱり嬉しいものです。

とはいえ、まだ収穫したわけではありません。

最後まで田んぼの様子を見ながら、一番いいタイミングを探して稲刈りをします。

今年はどんな亀の尾になっているのか。

私たち自身も、最初の一杯を食べるのを楽しみにしています。

100年以上前のお米を、今年の食卓へ。

1893年、明治26年。

山形県庄内地方の田んぼから始まった亀の尾。

それから130年以上が経った令和8年。

場所は変わって、長野県・伊那谷。

南アルプスと中央アルプスに囲まれた田んぼで、今年も同じ名前のお米が実っています。

もちろん、昔のお米だから優れているということではありません。

新しい品種には、新しい品種の良さがあります。

コシヒカリにはコシヒカリの良さがあり、ミルキークイーンや風さやかにも、それぞれ違った魅力があります。

それでも、

昔から受け継がれてきたお米を、今年も収穫できる。

そして、そのお米を今の食卓へ届けることができる。

それだけでも、この品種を作り続ける意味があるように思います。

今年の亀の尾も、もうすぐ収穫です。

しっかりとした粒感と、品のある後味。

機会があれば、一度ゆっくり味わっていただけたら嬉しいです。

令和8年産・亀の尾

令和8年産の亀の尾については、こちらの商品ページからご覧いただけます。

田んぼから食卓へ。

今年も伊那谷から、大切にお届けします。

令和8年産・亀の尾の商品ページはこちら

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長野県・伊那谷

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