効率だけなら、亀の尾は作りません。
お米づくりにも「効率」があります。
収量が多く、育てやすく、病気にも強い品種を選べば、
農家としてはその方が合理的です。
実際、現在流通している多くのお米は、
長い年月をかけて改良されてきました。
では、なぜファーム有賀は「亀の尾」を作り続けているのか。
正直に言うと、効率だけを考えるなら、
亀の尾を選ぶ理由はあまりありません。
収量は安定しにくい。
倒れやすい。
手もかかる。
現代の品種と比べれば、
決して優等生とは言えないお米です。
それでも毎年、この品種の苗を育て、
田植えをする理由があります。
亀の尾とは、どんなお米か
亀の尾は、明治時代に生まれた在来品種です。
現在のコシヒカリやササニシキなど、
多くの名品種の祖先とも言われています。
今では生産量も少なく、
市場で見かける機会はほとんどありません。
ただ、亀の尾の価値は、
希少性だけではありません。
本当に伝えたいのは、その味です。
ひと粒ひと粒が、自然にほどける
炊きたてを口に入れると、
まず感じるのは粒の存在感です。
最近のお米に多い強い粘りではなく、
ひと粒ひと粒が自然にほどけていくような食感。
噛むたびに、じんわりと甘みが広がります。
派手ではありません。
でも、不思議とまた食べたくなる。
亀の尾には、そんな静かな美味しさがあります。
シンプルな食卓ほど、よく似合う
塩だけのおにぎりにすると、
亀の尾の違いがよく分かります。
具材でごまかせない。
米そのものの味が、そのまま出る。
焼き魚と味噌汁。
季節の漬物。
出汁の効いた和食。
そんなシンプルな食卓ほど、
亀の尾はよく似合います。
食卓の主役になりすぎず、
でも確かに、食事全体を支えてくれるお米です。
効率では測れない価値
便利な時代になりました。
食べ物も、モノも、情報も、
すぐに手に入ります。
だからこそ最近は、
少し遠回りをしたくなることがあります。
効率では測れないもの。
数字では表せないもの。
手間をかけるからこそ生まれる価値。
亀の尾には、そんな魅力があるように感じています。
今年も、田んぼに苗が植わりました
今年も、亀の尾の田植えが終わりました。
まだ小さな苗ですが、
ここから季節を重ね、秋には一粒一粒のお米になっていきます。
その日を楽しみにしながら、
今年も丁寧に育てていきます。