ワインと料理を合わせることは、難しい知識が必要な世界ではありません。香りや余韻が静かに溶け合うだけで、食卓は一段と心地よく整います。暮らしを丁寧に味わう人にこそ知ってほしい、やさしいペアリングの基本をまとめました。
- ペアリングは合わせるよりも寄り添わせる
ワインは料理の主役ではありません。料理の魅力をそっと支え、余韻を伸ばす存在です。大切なのは、料理とワインが同じ方向を向いているかどうか。それだけで品のある調和が生まれます。 - ペアリングの基本は「似たもの同士」と「対比」
料理とワインの相性は、次の二つに整理できます。
一つ目は、香りや質感をそろえる「似たもの同士の組み合わせ」。
二つ目は、料理に足りない要素を補う「対比の組み合わせ」。
この考え方を軽く意識するだけで、難しく考える必要はありません。 - 白米とワインの相性は繊細さが鍵
白米は香りも旨味もやわらかい食材です。香りが強すぎるワインと合わせると、米の余韻がかき消されてしまいます。透明感のある白ワイン、軽やかなスパークリング、冷涼地域の上品な赤が合わせやすい理由はそこにあります。 - ファーム有賀のお米とワインの相性
お米もワインと同じように、品種によって個性が異なります。その個性に寄り添うワインを選ぶと、家庭の食卓でもレストランのような調和が生まれます。
4-1. コシヒカリと甲州
コシヒカリのふくよかな甘みに、甲州の控えめなミネラル感が寄り添います。塩むすび、焼き魚、だし巻き卵などシンプルな和食とよく合う組み合わせです。
4-2. ミルキークイーンとソーヴィニヨンブラン
ミルキークイーンのもっちりとした食感に、爽やかな酸が抜け感を与えます。大葉、レモン、海苔を使った料理やアジアン系ごはんとよく合います。
4-3. 亀の尾とブルゴーニュ白
亀の尾の凛とした香りが、樽の控えめなブルゴーニュ白と静かに調和します。松茸ごはん、出汁の強い炊き込みごはん、土鍋ごはんとの相性が良く、余韻が長く続きます。
4-4. いのちの壱とスパークリング
いのちの壱の繊細な甘みに、ブランドブランのきれいな泡が寄り添います。いくらご飯、海鮮おにぎり、手巻き寿司との相性が抜群です。
- 迷ったら重さを合わせる
料理とワインは「料理の重さ」と「ワインの重さ」を合わせると失敗しません。軽い料理には軽いワイン、濃い料理にはしっかりめのワイン。この考え方だけで多くの場面に対応できます。 - 美味しいワインは温度とグラスで決まる
白ワインは八度から十度、赤ワインは十四度から十六度が目安です。温度が高すぎても低すぎても香りが損なわれます。また、薄いグラスを使うことで香りの広がりが大きく変わります。 - 料理ごとの簡単な目安
塩むすびには甲州。
いくらご飯にはスパークリング。
土鍋ごはんにはミネラルのある白ワイン。
焼き魚にはソーヴィニヨンブラン。
松茸ごはんにはブルゴーニュ白。
天ぷらにはシャンパーニュ。 - まとめ
ワインと料理のペアリングは、理屈よりも空気づくりです。料理とワインがお互いの魅力を邪魔せず、そっと寄り添っているかどうか。それだけで家庭の食卓は静かに美しく変わります。日々のごはんが少しだけ特別になる。そんな時間を楽しんでいただけたら幸いです。